作った木工用ニス

<経緯とか仕入れた事前知識とか>
弦楽器のオイルニスとアルコールニスの話を最近、よく目にするようになって、
ふらふらと目についたブログ記事とかを読んでいました。
ニス塗り工程 アルコールニス/オイルニス/下地着色
https://atelier-eren.com/varnish/
ショートオイルニス
https://www.atelierkimura.com/325/
熱で樹脂を溶かし、画用液を調合する方法
https://cad-red.com/hotmethod/
専門ではないのであまりよくわかっていないのですが、これらの記事を読んでいる限り、
乾性油に樹脂を溶かして揮発油で延ばしたものが
表面コーティング材としてのいわゆるニスではないかと考えています。
あと、Varnish > バーニッシュ > ワニス > ニス という変化で、
日本語の「ニス」はできたようですね。
画用材だと「ワニス」表現をよく見かけます。
オイルニスはリノレン酸の重合により硬化(乾燥)するので、
空気をあてるよりは日光や紫外線LEDなどを使うとより早く乾燥するみたいです。
また、乾性油もリノレン酸が多いもののほうが硬化がはやいようです。
画用材のニスはマスティック樹脂やダンマル樹脂を使うようですが、
とあるサイトによれば、古典的な楽器用バーニッシュはコロフォニー(松脂)を
不活性雰囲気下で加熱処理することでピッチ化したものを使っていたという話です。
<余っていた弦楽器用レジンを活用>
黒猫レジンを気に入ってしまったため使わなくなったダダリオ社の弦楽器用激安レジンが
2個ほど余っていたので、これを解体してニスの材料に転用します。
弦楽器用のレジンは音をよくするために混ぜ物があるので、本来はふつうに材料用の松脂を買った方がいいらしいです。あるいは高価ですが、画用材のベネチアテレピン(松脂をテレピン油に溶かしたもの)を買うという手もあります。

のこぎりで少し切り込みをいれるとすぐにクラックが入ってケースから分離することができました。大きいものはいずれ使うとして、今回は粉々になった部分を使うことにします。

集めると8[g]ほどありました。

<松脂を溶かすためのテレピン油>
乾性油に直接ほうりこんで熱を入れていってもいいのですが、
どうせ塗るときにテレピン油で延ばすので、テレピン油で松脂を溶かしてしまうことにしました。
ホームセンターで売っている「アトムペイント」製のテレピン油、300[mL]で700円ぐらいです。
混ぜ物がありますが、画用材のテレピン油は50[mL]で600円ぐらいなので、
安くて入手性のよいこちらにしました。

20[g]ぐらいでよかったのですが、勢いあまって41[g]です。
テレピン油は揮発油で、こちらの乾燥は揮発によるものでして、
乾くのに時間がかかるだけなのでヨシッとしました。
<添加剤のビーズワックス>
ニスを剥がしやすくするためのビーズワックスも入れておきます。
1[g]でよかったんですが、こちらもちょっと多めになってしまいました。

<ニスの主材である乾性油>
ニス用の乾性油ですが、選択肢は「アマニ油」と「くるみ油」と「えごま油」あたりになります。
「アマニ油」と「えごま油」はプロ向けコーナーのある大きめなホームセンターの
塗料コーナーにいけばだいたい置いてあります。
「くるみ油」は置いてないホムセンが多いかもしれません。
乾性油の"乾燥"は重合硬化によるもので、硬化の早さはリノレン酸の多寡によります。
「くるみ油」はリノレン酸が少なく、「アマニ油」がいちばんリノレン酸が多いです。「えごま油」は次点。
アマニ油のいいところはスーパーの油コーナーで50[g]の小瓶が300円ぐらいで買えるところです。

今回は21[g]ほど使います。
アマニ油は「リンシードオイル」という名前で画材として売ってますが、けっこうお高いです。
あと、アマニ油とえごま油は特に樹脂を溶かさなくても、柿渋とミツロウで下処理した
木材表面に塗って仕上げとする場合もありますね。昔の大工さんがよくやるイメージ。
重合硬化すれば柔らかいですがコーティング層となるので。
樹脂を加えるのはある程度、コーティング層が堅さを得るためかと思います。
<スターラーで加熱溶解>
材料をすべてビーカーにまとめて、どこのご家庭にもあるスターラーで加熱溶解していきます。

参考にした記事類はコンロで加熱していましたが、スターラーがあれば火を使わずに済むのと
温度制御して撹拌まで自動でやってくれるのでとても楽ですね。
150[degC]まで加熱すれば、松脂もミツロウも溶けてしまいます。
楽器用のニスにする場合は、テレピン油を加えずに、アマニ油と松脂だけで150[degC]で
8時間 x 3日ほど事前に加熱処理するようです。
今回は木工用のテスト品で、テレピン油も混ぜてしまっているので、
さくっと30分程度で切り上げました。
あとはそこらへんに転がっていたジャムの空き瓶を綺麗に洗って、
内容物を書いたテプラを貼ったものにそそいでおわりです。

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基本工程を試すことができたので、
今後は理屈を調べつついろんな調合にトライしたいですね。